†夕闇界隈†
唐突に発案された近藤の意見。
「ハロウィンを機会に、市民がもっと親しめる真選組を作ろう!」
それは確かに、警察が好かれてる街はいい街だ、とは有名な言だ。が。
「武装警察なんだから、多少近寄り難いくらいでいいんじゃねぇの…?」
ナメられたら元も子もないだろ、と云う土方の正論は当然誰の耳にも届かなかった。
†夕闇界隈†
結局、何がどうなったかと云えば。
「土方さん、似合うねぃ」
「嬉しくねぇ。つか、お前のがよっぽど違和感ねぇよ」
全員仮装しての職務を強制執行。
渋い顔を晒した土方が乗り気なワケもなく、沖田が強引に着付けさせた。
着付けと云っても、それは。
狼の黒い耳と尻尾を付けただけ。
それが土方の精一杯の譲歩。制服はそのままで、ほんの数秒で取り外し可能と云う点で承諾したのだろう……が。
殆ど猫耳プレイに近いモノがあるって事実は、ハロウィンと云う名の隠れ蓑に誤魔化され、土方は気付けていなかった。
因みに、沖田は魔法使い仕様。
黒いトンガリ帽子に長いマント。頭の天辺から爪先まで、見事に抜かりなく染まり切っている。
どこからどう見ても………間違いない。
確実に、警察には見えない。
「仮装行列かよ…」
土方の、的を射た喩え。
しかし、近藤の目論見はなかなかに功を成していて。コスプレパレード……もとい、市中見回り中の隊士達は、すっかり子供達に大人気だった。
その人気振りは、仮に今事件があったなら人垣掻き分けるタイムロスはかなりのモノになりそうなくらい。
正に本末転倒。
土方は既に疲労困憊に、げんなりと1つ溜息を吐いた。
幸いにも、取り立てて大きな問題もなくその日は終わった。
………いや。正しくは"その日の仕事は終わった"、が正解だったらしいと土方は悟った。
「Trick Or Treet」
着流しに着替え勿論耳も尻尾も外して、普段の倍疲れたから通常よりやや早めに休もうかと思ってた土方の部屋。
そこに現れたのは、未だ架空の魔法使いな装いのままの沖田だった。
戸を開け放したまま、決まり文句を添えて片手を差し出す。
「………ねぇよ」
常日頃から菓子なぞロクに食べもしない土方の自室に、沖田の求めてるモノが常備されてる筈もない。
「仕方ねぇなぁ。じゃあ、流儀に則って悪戯させて頂きやす」
「どんな流儀だ」
言うが早いか、次の瞬間には沖田は土方の間合いの中。
土方のツッコミは当たり前のようにスルーして、ニタリと笑った沖田は土方に軽くキスをした。
「……もういいのか?」
「悪戯ですからねぃ。今回はこれで、勘弁してやりまさぁ」
触れるだけで離れた沖田に、土方は思わず拍子抜けな言葉を発してしまった。それを聞いた沖田が、嬉しそうに――でもやっぱり人を喰った笑みを浮かべる。
「まぁどーしてもってお誘いなら、俺も鬼じゃありやせんから…」
「いいッ!いらんッっ!!結構ですッッ!!!」
再度圧し掛かろうとしてくる沖田に、ハッとした土方が大袈裟なほどにカブリを振った。
だが、別に本気ではなかった沖田は意に介さず、笑ったまま土方の胸元に手を寄せる。けれど、土方に直接当たったのは、沖田の掌ではなく、溢れんばかりに菓子の詰まった籐の籠。
「ほい、あげやす」
「は?」
「魔除けでさぁ」
「???」
沖田の言わんとする意図をイマイチ理解出来ない土方が、眉を顰める。
気付いた沖田は、納得したように口を開いた。
「土方さん、ハロウィンって実際何なのか、知ってますかぃ?」
「………異国の宗教の万聖節とか云う祝日の前夜祭」
「流石。じゃあ由来は?」
「…………知らねぇ」
どこか優越感に浸る沖田に、土方は憮然とする。
が。
「悪霊を鎮める為に供物を捧げてた風習が発祥ですぜ」
次いだ沖田の"悪霊"と云う単語に、土方の頬が引き攣った。
言わずと知れて、土方は大の怖がりだ。十分予想の範囲内であったであろう反応も、沖田は敢えて気付かない風体に話し続ける。
「この時期、死霊が出易いそうで。供物を供えない家は祟られるんですぜ」
「…………へぇ」
不意に神妙に潜められた沖田の声音に、土方はコッソリ身震いした。
小憎らしい沖田の笑みに、影が差して見える。
「死霊が家に来ないように、子供にオバケの格好させてあらかじめ家を先回りさせる、ってのが本元なんでさぁ」
そこまで言って、やっと沖田はわざとらしい不気味な笑いを消した。心なしか、土方もホッと胸を撫で下ろす。
「だから、これが供物でさぁ。ハロウィンの夜は、特に用意しておいた方がいいですぜ。霊に遭ったら供物(菓子)をやらねぇと、まず助かりやせんから」
「そう…か」
再び突き出される籐籠。今度は流石に土方も受け取ってしまった。
「ま、見慣れねぇ奴が居たら、渡しときゃ無難でしょうぜ。アンタ、怖がりだからねぃ」
「なんだと、コラァァ!?」
相変わらずな沖田の毒舌に、土方は籠に落としてた目線を上げる。
しかし、そこに沖田の姿は見当たらなかった。
「……総悟?」
土方がポツリと沖田の名を零す。その数瞬後、沖田が入室した際閉じられた戸が、遠慮がちに叩かれる。
不振に思った土方がそっと戸を開けた。
「総……?」
開けたそこには、カボチャを被った黒マント。
ジャック・オ・ランタン……?
中身をくり抜いて、燭台や面にしたお化けカボチャ。
それは黙って右手を差し出した。
「なんだよ、練習しろってか?」
土方は呆れたように嘆息すると、静かにきびすを返す。
沖田の持ってきた菓子を一掴み、桟の手前に佇むカボチャ仮面に渡してやった。
「おい、総悟?」
両手で大事そうに受け取ると、そいつは終始無言でさっさと去って行ってしまった。
静かな動きで移動するそれが廊下の角を曲がり見えなくなるまで見送ると、土方は頭を掻きながら室内に戻る。
「なんなんだよ、アイツは」
「何がですかぃ?」
閉めた戸を見遣っていると、突如背後から掛けられた声に土方は肩を跳ねさせた。
「総悟!?お前なんで此処にいんだ!!?」
「? 俺はさっきからずっと、彼処に居やしたが」
首を傾げそう言う沖田が指し示したのは、今居る場と襖1枚隔てた床間。確かに、さっきまで閉まってたその襖が、開いている。
「土方さん、お疲れみてぇだからもう寝るかな~って。床の用意、済みやしたぜ♪」
言外に"一緒に寝るコト"を十分すぎるほど含ませてる物言いに、いつもなら盛大にツッ込む土方は今それどころじゃない。
よくよく見れば、さっきのカボチャ仮面とはマントの長さが全然違う。膝丈で割合前は開け放してある沖田と違い、さっきのカボチャ仮面は足の先まですっぽり覆って前面の繋ぎ目も不明瞭な完全三角錐だった。
何より、沖田の今出てきた床間。そこに出入り口は、1つしかない。
かと云って、この隊内に沖田と見紛う体格の者など、皆無なワケで。
「…………ッι」
全身から血の気を引かせた土方が、絶句する。
どこからともなく、笑い声が聞こえた気がした。
オカシヲクレナキャ悪戯シチャウゾ
---
沖土CP小説と云うよりホントにただのハロウィンSS^^; まぁ偶にはこーゆー毒気のないのもいいでしょう(笑)
この後の副長は勿論総ちゃんと一緒じゃなきゃ寝られません 総ちゃんが帰ろうとしたら泣いちゃうよ´∀`
ところで これ最初は途中で銀さんも出てたのよね 「あらま、土方くん可愛いカッコv」って(笑) 話の主旨ズレる・展開に関係ない・更に無駄に長引く・の三重苦だったんで敢えなく却下(苦) 銀さんゴメンッ>△<
最長短編だ(笑) 読んで下さりアリガトですーv
モバイル表示

注目ワード
