†欲求不満†
「イチャイチャしてぇ…」
起き抜けに突然、俺にはそれが自然現象にすら思えてしまった。
†欲求不満†
夢を、見た。
腕を絡ませ指先まで絡ませ、身体一杯を絡み合わせた甘い甘い――夢。
夢の中の土方さんは優しかった。ずっと俺に寄り添ってた。甘かった。
泣けるくらい好きすぎて、涙ながらに告る俺に、土方さんも嬉しそうにして微笑ってた。なんだ、この夢。
くっそ、頭にくるくらい……愛しい。
それだけに。
自然に目覚めた時、あまりに空しく寂しかったのも、また事実。夢精してなくてよかった。
そしてウツツに戻った今、改めてイチャつきたくてしようがない。
でも、何故か鉛みたく重い足は、動こうとしてくれない。
「うぅ~……」
意図せず上がる唸り声。
きっと眉間には謎の皺、土方さんじゃあるめぇに。
ノロノロ着替えて部屋を出た。
廊下は朝の身支度ラッシュで忙しない。
隊士に会う。挨拶を交わす。仏頂面の俺に苦笑して、肩を叩いてく近藤さん。
…………。
ああああああああ!!!
なんッだ、このもどかしさァァ!!
胸が詰まったみてぇに息苦しいッ!!
なんか、体全部ガクガクしてきたァァ!!!
いい加減堪え切れなくなった俺は、一目散に駆け出した。
そもそも、何を我慢してたのかも分かんねぇわ。
力の限りに障子戸をスライドさせた。あまりに勢いよすぎて、端が少し浮いたけど、それはどーでもいい。
「………総悟?ι」
部屋の真ん中には、正に今部屋を出るトコだったと言わんばかりの、準備万端な土方さん。
不機嫌に睨み付ける俺に、面食らった土方さんはむしろビクついてる。
なんでぇ、何か後ろめたいコトでもあんのかぃ?
「総」
再度名前を呼ばれる前に、俺は一足飛びで土方さんの真ん前。
ギョッとした土方さんに、俺は間髪入れず抱き付いた。
「………は?」
すぐ耳元で、土方さんの間抜けた声。
そりゃそうか。大方、また刀で斬りつけられるとでも、思ってたんだろうから。
「……土方さん、ギュッてして」
部屋に来て初めて俺の発した言葉。
これ聞いて、俺が単に甘えに来たってのに気付いたんだろ。土方さんの体から緊張が消えて、肩からは力が抜けた。
「なんなんだ、お前は」
「もっともっとギューッて。…なんでぇ、それともその程度がアンタの全力?非力なこって」
「上等だ、コラ」
うわ、苦し。
途端に本気出した土方さんが抱き締……いや、これはむしろ"締め付けてる"。
でも、このくらいで丁度いい。
………気持ちいい。
背中の手を片っぽ取って、指を絡ませた。
握っては解いて絡ませて、指先で指の間撫で上げて手の甲擦って………あぁ畜生、なんだこの充足感。
んで、その間にも、俺は土方さんの首筋に顔擦り寄せてみたりして。
「んー……」
我ながら猫みてぇ。
土方さんの匂いに、酔いそうだ。
「………あの、総悟くん…?ι」
暫くはされるがままだった土方さんも、とうとう呆れの限界が来たのか、三たび俺の名を呼んだ。
何分くらい、そうしてた? まぁ、いいや。
半分くらい満足。
俺はゆっくり土方さんから離れた。
別に性急な触れ合いをしてたワケじゃないから、お互い特に欲情はしてない。
怪訝な顔した土方さんと目が合った。
「……おい」
俺は今度は、そのふてぶてしいツラの頭を叩き始めてみた。
俺的にはペンペン叩いてるつもりだけど、実際はポフポフ。
そんなに離さないから、ちょっと固めてる…でも何故かふわふわした髪が常に手のひらに当たり続けてる。
ぽふぽふぽふぽふ…あ、これっていつもと逆だ。
「おい…」
ぽふぽふぽふ……よし、なんか満足。
仕上げとばかりに俺は、最後に土方さんの肩を力一杯引っ叩いた。
「痛ァッ!!何すんだ、テメェェェ!!?」
「おや、痛かったですかぃ?」
「……痛くねぇよ」
バツが悪そうにポツリと訂正。
細身でもしっかり鍛えちゃいるから、俺が全力出しても壊れやしない。
そうして、やっとこさ満たされた俺は、微妙に不貞腐れた土方さんに、ニッコリ全開で笑って見せた。
多分これは……所謂、欲求不満。
その意に含まれるのも、性欲だけが全てじゃねぇさ。
あー…、すぐ近くに居てくれてよかった。
---
もしひじーが近くに居なかったら?とか試してたんです総ちゃんはきっと(<なんで笑)
でもいいよね 結局はすぐ近くにいつも居るんだから´ω`
ひあまには珍しく抽象的じゃない題だ 裏っぽいけど(笑)
最初は"猫"って入った題だったんだけどそれはやっぱ副長に使いたいと思って再びストック行き 題候補ばっかり溜まってます(笑<いやひあま題考えるの苦手だから思い付いた時に蓄えとかないとだから‐‐;)
また無駄に長い_(_ _;)_
読んで頂きアリガトでぃす★
http://r.peps.jp/silver/&s_id=baragaki
モバイル表示

注目ワード
