†距離霧中†
並んで歩いてると、いつも肩がぶつかる。
いや、それだけならまだいいのだが。
「おい、なんでアンタは俺の進行方向にズレながら歩くんだよ。斜めに歩くな、真っ直ぐ歩け。前、邪魔」
「何言ってんだ、トシ!俺は地面のラインに沿って歩いているのに……」
あ、そうなの?
†距離霧中†
てコトは何?どんどん斜めに歩ってるのは、俺の方??
………いやいや、ナイナイ。俺、真っ直ぐ歩いてるよ。
ほら、俺は何も変えてねぇのに、ぶつからなくなった。
やっぱ、アンタが曲がってたんだよ。
でも、忘れた頃にまた肩がぶつかる。
それは、まぁいい。だけど。
「だから、前来るなっての。ぶつかるぞ」
あぁ、もういいや。
この人はきっとこーゆー癖があるんだ、そうなんだ。とか、結論付けた。のに。
何気なく思い出して、気付いたからちょっと観察してみた。ら。
「……普通の距離で、歩いてるよな」
近藤さんと総悟の間、約20cm。そりゃ、ぶつかるワケがない。他の誰と並んでても、それは変わらなくて。
けど、それが普通だろ? 恋人同士でもなきゃ有り得ねぇ寄り添い方じゃねぇか、あれ。
それとも、なんだ? 俺の話し声が小さいとか?聞き取りにくいのか?
でも、それなら他の奴も同じ状況になるだろ。けど、近藤さん以外にそんな奇行に出る奴なんていないぞ。
………もしかして、俺って懐かれてる?いつもくっ付いてたいってか? マサカ。
「うーん…」
……まぁいいか。
別に、お互い何が困るワケでもナシ。仲良きコトは美しきかな、だ。
とか、思った矢先。
―――近ッ。
他愛ない雑談。俺が手元で広げてる冊子のコトが、話題に上がった。
文面を見ようと覗き込んでくる近藤さんの顔が、ホントに近い。思わず俺のが仰け反りそうだ。
アンタ、さっき隣で山崎の本を見てた時は、もっと姿勢崩さずに読めてたじゃねぇか!
厠行って戻ってきて、俺の隣に着いてからやたら近すぎねぇか??
さっき食ってたラーメンの匂いまで、分かる。
その至近距離で、紙面とお互いの顔とを交互に見合って。真っ直ぐ人の目を見て話す人だから、俺もちゃんと目を見て応える。
……………やっぱり、近いなぁ。
これ、端から見て異様な光景じゃねぇのかな?大丈夫か??
あらぬ誤解を生んでも、知らねぇぞ俺は。
は?そりゃ、誤解だろ。
だって近藤さんにはお妙サンがいるんだし、俺にも……………いや、何でもない。とりあえず、そーゆー対象だとは思ってない。
勿論、好きは好きだ。危なっかしいから庇護欲駆られるし、一緒に居ると楽しいし落ち着く。
よく、俺は鈍いって言われるが、流石にこれは違うダロ。お互い断言出来るぞ、きっと。
「おいおい、これ見ろよ、トシ!」
「ははッ、何だこれ」
髪同士が当たる。
背景も入らず、瞳が唯一映す笑顔に、笑い返す。
見詰め合って、微笑み合って? そんな大層な意味なんて持ってねぇよ。
俺にとっても近藤さんにとっても、現状で別に違和感がないだけだ。周りがどう思おうと、当の俺達に適切なら構わないだろ?
「あれ?これって何時の間に変わった??」
「おい、しっかりしてくれよ」
戯れに、小突いてど突いて引っ叩いて。
むしろ叩けと言わんばかりに頭出してきたりして、身構えて。
そして、また笑って。
結局のところ――、"まぁいいや"。
この距離は、嫌いじゃないから。
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これ近土じゃないよ多分
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